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町家とお店とDIY

郡上八幡の町に添い並ぶ家々は、昔ながらの日本の町家。

商家である造りの町家は、うなぎの寝床と言われるように奥に細長く、通りに面してお店があり、奥に住居がある家の造りです。

つまり、昔から、暮らしながらなりわいを営むお家が多かったのです。

町の中心部の町家は特にそう。

 

 

チームまちやで扱う、そんな店舗兼住宅の空き家の工事は、住居部分やトイレの水洗化などの工事はチームまちや側で予め行いますが、店舗部分は入居者の方で行います。

入居が決まってから、店舗部分の改修計画を事前に提出。承認を受けてから着工します。プロの業者に依頼する方もいれば、自分たちの手で行う方も。

 

 

今回は、移住して1年半。店舗を自分たちの手でコツコツと改修し、現在暮らしながらなりわいを営む方々の、DIY奮闘記をお伺いしました。

 

 

「北海道から移住しました。もともと高山で木工を学んできたこともあり、移住というよりはUターンというくらい、岐阜には馴染みがあります。」

そう話すのは、fuu+017の江口玲奈さん。

 

 

 

郡上八幡に移住し、町家の中で製作・販売を行う木工作家さんです。

「家を探すときは、木工の作業所を作りたかったので、工房兼店舗のスペースが取れる家を探していました。」そんな彼女が、空き家拝見ツアーに参加し、巡り合った物件がこちらのMachiya FUU

1階が土間だったので、コンクリートが敷き詰められるのがよかった。なにより、乙姫川沿いの景観がよかったです。」

 

 

 

そんな風景に惹かれた家でも、特に気を使ったのは音のこと。町家は家と家がくっついているので、音の問題がダメだったらスタートできない。

「音で近所の方にご迷惑をかけないよう、大工さんに遮音シートを貼ってもらいました。最初に機械を回すときはドキドキしました。隣に音を聞きに行って、大丈夫だったのでホッとしました。」

 

 

 

大きな音の出る作業は、岐阜のシェア工房を借りてそこでやっている。

「大工さんにはプラスターボードまで貼ってもらいました。壁に棚を自分でつけたかったので、ビス止めできるように、予め下地にべニアを入れてもらいました。仕上げの珪藻土塗や、パテ押えは全部自分でやりました。夏だったので、昼間は暑くて作業できなくて・・・夜にやっていたら、中がよく見えるので、通りかかる人に話しかけてもらったりしました。」

 

 

 

 

工房と店舗の間は、カーテンで仕切りがしてあります。

「ここも、ゆくゆくは建具を入れたいので、最初に大工さんに枠を入れてもらいました。今年は時間を見つけて、建具を作って入れたいです。建具の一部をガラスにして、店舗のお客さんから作っている姿が見えるようにしたいと思っています。」

 

 

 

ふと見ると、班長の札が。移住早々、順番で町内の班長をやっているそう。

「おかげで、名前と顔を覚えてもらえてよかったです。近所の方に助けてもらっています。」

壁には、古家から出てきた古時計がかかっている。動かなかったのを、最近町の時計屋さんに直してもらったそうで、店の真ん中でしっかり新しい時間を刻み始めていました。

 

 

 

次に訪ねたのは、ラシェーズまちやさん。

奥行の長い町家で、手作りの惣菜パンや菓子パン、チーズケーキの製作・販売。そしてカフェスペースや懐かしい駄菓子屋の雰囲気のある面白いお店です。(マスコットキャラクターもお店の中にいますよ。)経営する岩田さんと加納さんに、町家との出会いからお話を伺いました。

 

 

 

 

 

「うなぎの寝床のような奥に細い町家の多い町なので、住みながらお店をしているイメージでした。でも、住み分けがきちんとできていないと、お店に生活感が出てしまう。どうしたものか・・・?と最初はイメージが浮かびませんでした。でも、借りるゴーサインが出てからよく見てみると、昔の建物の雰囲気がかなり残っていて、それなら昔に戻す形でやってみよう!と壁や天井をはがすところから始めました。」と話すのは、岩田さん。岩田さんの手作り空間は以前から評判で、わざわざ遠方から見に来るファンの方も多い。

 

 

 

「最初、入口はお茶を出すだけのスペースにしようと思っていたけど、急きょ、八幡の今は閉店している平和パンさんからパンの焼き釜をもらえることになったんですよ。重すぎるし、これは手前に置くしかない!と。そこで枠を考え直して、作り直しました。更に、ガラスのショーケースも貰えることになったので、どんどん変更していきました。天井も抜いて吹き抜けに。八幡の町家の特徴が出て、昔の建物により近づいて。町並みに合った店舗展開が出来たかな、と思っています。」

 

 

 

 

一方加納さんは、「私は初めてのDIYで。おかげでくぎ抜きは得意になりましたね。壁や天井に塗装をするのに、掃除や養生、くぎ抜きが本当に大事。梅雨の時期なので、ナメクジと闘ったり、ねずみのフンを片づけたり。手入れのされている家だったけれど、使っていないとやはり大変。掃除が作業の7~8割を占めていました。」

加納さんは、名古屋から移住して、ラシェーズまちやをスタート。まったく経験のない店舗作りから、お店の運営まで、これまで大変だったのではないでしょうか。

「それが、どんどん変わっていくのが楽しかったです。新しい建材の壁をはがすと、古いいい感じの壁が出てくる発見。昔の落書きが出て来たり。みんなの思いがつまったものを、大切に、つなげていくことが大切だと感じました。そこに自分も参加できてよかったです!

やったら、やった分だけ、愛着が沸きます。」

 

 

 

チームまちや側で行うトイレの水洗化工事も、このような奥に長い町家の場合は、大工事です。通路の土間を掘り起こして、中に下水管を設置し、また上からコンクリートで固めます。そんな時に岩田さんから、「土間を埋めるなら、その時にビー玉を埋めたい」と連絡がありました。チームまちやのメンバーも一緒に、「お客さんが喜ぶかな?」「オーナーさんはどう思うかな?」などと考えながら埋める作業はとても楽しく、家に手がかけられてどんどん暖かくなっていくのを感じるひと時でした。

 

 

 

「これから、瓶の下を切った照明を作って、廊下に付けていきたいと思っているけど、まだ途中の状況。建物自体を楽しめるように、これからもどんどん工夫して、手を加えていきたいです。」

 

 

実際に運営している加納さんによると、「近所の方が、これまで近くにパン屋がなかったから・・・と喜んでくれて。おしゃべりしたり、お客さん同士で挨拶したり。地元の人がのぞいてくれて、溶け込めることが嬉しい。溶け込めないとお店としてやっていけないと思う。お付き合いもなるべく大切にしていきたいですね。」

 

町家オイデナーレで、空き家で駄菓子屋さんを出店し、それがきっかけで「この町で駄菓子屋さんをやりたいな」と、この店をスタートさせたふたり。他に駄菓子屋さんがあるので、おもちゃなどを中心に売っている。小さな子たちが、おじいちゃん、おばあちゃんと一緒に買いに来るようです。

 

(江口さん)

「実は、郡上八幡のクラフト展に出展したときに来てくれたお客様が、結婚式の引き出物に、うちを選んでくれて。」

(加納さん)

「ええ!今作っているスコーンも、引き出物用なんですよ。ひょっとして同じ方・・・!?」

ふたりとも、どんどんつながりが出来てきているようです。

 

 

ラシェーズまちやの入口のガラスケースのカウンターは、実は建物のオーナーさんが、かつて和菓子屋さんだった時に使っていたタイル張りの品。今はパンやケーキが並んでいます。

 

fuu+017さんも、ラシェーズまちやさんも、町家をまったく新しくするのではなく、古いものを上手く活かし、新しい形を作り上げていますが、同様に地域のつながりを大切に、新しい風を町にも呼び込んでくれているようです。

 

プロフィール(各自より)

○江口 玲奈

愛知県名古屋市出身

岐阜県高山市で二年間木工の基礎を勉強

北海道の木工クラフト会社に就職、五年間製作スタッフとして働く

岐阜県郡上市に移住、独立

 

屋号・fuu+017(フータスジュウナナ)

FACEBOOK : https://www.facebook.com/fuutasujuunana/

TWITTER : https://twitter.com/fuutasujuunana

INSTAGRAM :  https://www.instagram.com/fuu017

HP : http://fuutasujuunana.jimdo.com

 

○加納 浩美
愛知県名古屋市出身
ひるがのラシェーズで約一年従事し、ラシェーズまちや開店に伴い移住。

店長としても郡上市民としても未だ勉強中の日々


屋号:ラシェーズまちや

FACEBOOK : https://www.facebook.com/Hiruganolachaise/

 

○岩田有弘

2000年頃に名古屋市東区で、天使のはねと言うラブリーネームで家具屋を開店。当時流行っていたアジアン家具ブームに乗っかろうと企てバリ島から家具の輸入を始める。9.11以降輸入品の通関費用が高くなり、2005年に岐阜市神田町にラシェーズを開店するが、土の上でお店を営業したい思いが強く、2012年にひるがのに移転。

(単に暇な時は景色の良い所で「客来ないなー」とつぶやきながらコーヒーを飲みたいと思ったとか思わなかったとか…)