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海外からの移住と町家暮らし

「なんだか暖かい空気に包まれた家だなあ、と。」

 

上日吉町に佇む、落ち着いた雰囲気の郡上八幡の町家。

かつて、提灯職人の内藤さんが住まれており、丁寧な仕事と優しい人柄で小学生や地域の方に親しまれていました。座敷で提灯を作っている内藤さんを訪ねる人は、時に今日の出来事を語り、時に手作業の仕事を食い入るように見ていたと、長く郡上八幡に住む方は話されます。

 

 

 

「その話を聞いた時、この家にしよう!と思いました。なんだか暖かい空気に包まれた家だなあ、と。」アメリカの西海岸から2016年の秋に移住したご夫婦に、どうしてこの家にしようと思ったのか聞いたところ、こんな言葉が返ってきました。

 

ふたりが郡上八幡と出会ったのは、共通の友人がサンフランシスコから郡上八幡に短期間移住していた時に、誘われて来たのがきっかけでした。

 

「アメリカではなく、日本に住みたい。という意思がふたりの間でありました。でも、日本のどこに住もうか?となった時、東京・鎌倉・京都・福岡などあちこち行ってみましたがどこもピンとこなくて・・・。そんな時に友人を訪ねて郡上八幡に遊びに来たのがきっかけで、ここだ!と二人とも直感で感じましたね。」

 

 

― 直感というと、

 

「凄く人間的な感じが伝わってきました。みんなで文化を守っていますし、踊りとか人間関係とか。町内の人とミーティングをしたり、一緒にバーベキューをしたり。そういうのがあるのがいいですね。小さい田舎に住むと、そういうのが面倒臭いというのを聞いたんですが、私は逆にそういうのに参加できるのが嬉しいです。誰かに何かあったらみんな助けてあげると思うし。そういうところがいいかな。サンフランシスコでは、近所の人とのコミュニケーションがメールだったりアプリだったり・・・。仕事のステイタスの高い人が尊敬されていたり、人種によってのクラスがあったり・・・。そんなところに、もう嫌気がさしていました。その点、郡上八幡では、いろんな人がいろんな仕事を超えた繋がりがあって、仕事で人を区別したりしない。年齢も性別も職業も超えて、みんなフラットな関係で、とても人間的で暖かい。そして文化がある。そんなところに惹かれました。」とジョシュアさん。

 

ジョシュアさんは、移住してから近所の方に請われて春の祭りの笛を吹いたり、祭りの様子の映像を撮影したり。夏の踊りの時は、浴衣姿で決めて、毎日のように踊っている姿をみました。

 

 

― 翠芳さんはどうですか?

 

「日本の他の地域を見ていたとき、それぞれのカラーが強く、コミュニティが既に出来上がっていて、よそ者が入りにくい感じがありましたね。郡上八幡はそんなことが全くなくて、色がついていないというか、何色か分からないというか。ひとりひとりが違い、みんなキャラ立ちしていて、それが心地よかったです。ある日はこのグループで一緒に何かをするのだけど、またある日は違うグループで行動したり。私は東京で育っているので、大きい集団に属さないというのはすごく居心地がいいですね。なので、八幡の中に住んでいると、割とみんなが個は個として存在していて、色んなところを行き来していて、こうやって暮らしていると、ちょっと東京の縮図を見ているようで、それがすごく好きだった。」

 

 

― それがきっかけでチームまちやに連絡をしてくれたんですね!

 

「そう!郡上八幡に住もう!とふたりで意見が一致したのはいいけれど、まずは住むところがないと・・・と思い、チームまちやに連絡しました。海外からの場合、仕事もイチからスタートなので、賃貸入居条件の厳しい日本では難しいかな?と思っていましたけど、まずはお試し町家へどうぞ、とまったくスムーズに入居が決まって良かったです。当初は試しに住んでみようと思いましたが、すべてタイミングだと思い、全てを手放して、郡上八幡へ向かいました。Visaの申請もあり、準備には3ヶ月ほど。親からは、なぜ全てを投げ出してでも、そこへ引っ越したいのか?と言われたりもしましたね。でも、自分たちのスタイルとしては、こちらが合っていると思ったのです。その直感は間違ってなかったと思います。」

 

― 移住してからの仕事はいかがですか?

 

「仕事も、焦らずに自分ができることをまわりに伝えて、声をかけてくれることを待ちました。ご縁あって、映像の仕事の他、今は日本各地の古道を外国人に案内をするガイドの仕事を始めています。白山開山1300年の年ということもあり、歴史のある面白いイベントにいろいろと参加していますが、自分もそれに興味があるから、そんなことを伝えるツアーをここ郡上でこれから自分で作っていこうと思っています。」

 

 

「私は、フェルデンクライスメソッドという、身体訓練法のクラスや施術を自宅で行い、そして知り合いから声をかけてもらって、昔の経験を活かせるベビーシッターの仕事を八幡の町でしています。」

 

 

焦らず、自然体で、いつの間にか地域にしっかり馴染んでいるおふたり。

家の玄関には、「商売を始めるなら持っていきなれ。」と内藤さんの親戚の方から頂いたカエルが、「お客様がまた帰ってきますように・・・」とかわいらしく鎮座していました。

 

最後に、海外から移住を検討されている方へのメッセージを伺いました。

 

「自分の国のルールや習慣を押し付け、自分の好きなように暮らすのではなく、その国や地域の文化や習慣を尊重し、生活のリズムを合わせていく。そんな風に、謙虚な気持ちで暮らすことが大切だと思います。」

 

そんなジョシュアさんと翠芳さんの周りには、いつも人がいっぱい。道に開いた座敷から漏れる笑い声は、いつかの内藤家の暖かさを引き継いでいるようです。 

 

 

 

○プロフィール

 

ベーウィッグ・ジョシュアさん

アメリカのメイン州出身。小さい頃から日本が好きで、高校を卒業して数ヶ月の旅行予定で来日するも、そのまま京都で3年暮らす。その後も海外の日本企業に勤務。郡上八幡に来る直前は、サンフランシスコで樹木医(Tree Doctor)の会社を経営。現在は郡上八幡にて映像の撮影・編集のお仕事、そして日本各地の古道を巡るツアーガイドをしている。

 

ベーウィッグ・翠芳さん

東京都墨田区出身。高校卒業後、アメリカの大学に進学。卒業後、サンフランシスコで保育士として働く。ジョシュアさんと結婚後、仕事を手伝いつつ、自身の術後の麻痺のリハビリの際に出会ったフェルデンクライス・メソッドの講師の資格を取得。現在は、自宅にて、「Awareum~からだと気づきの場〜」を開講している。

 

 

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